来年の旅に使う自転車を取りに行くため、300kmを走る <4>
千葉から浜松まで、自転車を取りに行った。
バス→電車→新幹線→バス→タクシーで。
長い1日だった。
引き渡し店舗を間違え、人生初のバーストを経験し、1時間以上をロスする回り道を余儀なくされ、トンネル内では自転車の脆弱性を思い知らされた。
ホテルは思いのほか快適だったが、十分な休息を得ることは叶わなかった。
そんなこともあって、2日目のスタートは午前4時だった。
まずは沼津を目指す。



静岡から沼津まで、国道1号線をメインに走った。
昨日のトンネルでの経験があるから、自転車通行禁止区間には最大の注意を払った。
それでも1か所、迂回不可能な自転車通行禁止区間にでくわした。
高速道路のような区間を逆走しながら戻ることもできず、崖とその道路に挟まれた狭い土地にあった小さな集落で、Google mapやGoogle Earthを使って迂回路を探した。
集落もある。線路もある。踏切も。ないのは、自転車と歩行者が通れる道だけ。
道はあるにはあるけど、登山道の入り口のような、階段の多い山道だった。
この区間をタクシーで移動するか、突然出現した標識に従うことをあきらめるか、の2択を迫られた・・・
その後も自転車通行禁止区間を避けながら走り、沼津に着いた。
ここからは山だ。




山を越え、熱海に着いた。
Kona SUTRAも、40cのグラベルタイヤも、全然山を登れることが分かって良かった。
練習してない僕のせいもあって、とっても遅いけど。
でも逆に、速さや効率、早いサイクリストや自転車のことがまったく気にならなくなる。ゆっくり走ることを、むしろ誇らしく感じさせてくれる。

熱海に着いた。
静岡を出たのが午前4時。熱海到着が10時。走った距離80km。
山も越えたし、足も大丈夫。時間もまだある。のこり150km。


熱海を出発して早々、自走を続けるか、それとも輪行に切り替えるか、迷い始めた。
きっかけは、熱海を過ぎてからも続く登りだ。
ある程度覚悟していたことではあるけど、昨夜の睡眠不足、初めてのパニアバッグ、山越、残された千葉までの距離が、湯河原に至る山道を実際の何倍にも高くした。
湯河原に着いた。
日差しが熱かった。
100kmを自走する気力が消えた。

小田原まで行ければ、たくさんの選択肢が生まれる。
今日は泊まって明日帰る、自転車を送る、バッグだけ送って自走、輪行する。
一番楽なのは輪行だけど、問題は非常用に持ってきたTIOGAコクーンに、リアラック付き自転車が入るかどうかだ。

大丈夫だった。
リアラックの上が少し裂けたけど、ハンドルとフェンダーを外すことでなんとか収めることができた。
ストラップもなく、輪行袋がパンパンのせいでトップチューブもうまく掴めなかったから、とても重かったけど、なんとか入った。
東京に着いたのが早い時間だったこともあり、空いてる電車で家まで帰ることができた。
自転車で走る知らない街
目的地に辿り着けるかどうかの不安
いつ起こるとも知れないトラブル
トンネルの中で晒される恐怖
生きていることは、単なる幸運の重なりでしかない。
自転車を買った帰り道、そんなことを考えた。