来年の旅に使う自転車を取りに行くため、300kmを走る <1>
来年出発する予定の<インドシナ半島+南アジ 自転車旅>で乗る自転車を決めた。
まず決めなくてはならなかったのは、
「日本から持っていくか、それとも現地で購入するか」ということ。
日本から持っていくのは、パッキングが面倒そう。
現地で買うのは楽しそう。宝探しみたいで。
ということで、現地で購入することに気持ちは傾いていたけど、
おそらく日本は、自転車のような工業製品を世界で1番安く買うことができる国だし、何より時間をかけて探すことができるから、時間とお金を節約するために、やはり日本から持っていくことにした。
次は「どんな自転車にするか」を決めなくてはならなかった。
ルートを調べると非舗装路も多い→太めのグラベルタイヤ
タイとラオスには山もある→軽いギア
キャンプはしないけど荷物は多い→リアキャリア
村の自転車屋で修理可能→クロモリ&シンプルな構造
で見つけたのがこれ。Kona SUTRAというツーリング自転車。
Kona SUTRA <LTD>は、取り扱ってるショップもレヴューも紹介動画も本当に多けど、Brooksのレザーサドルとリアキャリアが標準装備されたこの<LTDじゃない>SUTRAは、みつけるのが大変だった。
見つけたのは、あまり乗られてなさそうな中古のSUTRAだった。
色もサイズも完璧だった。
たったひとつの問題は配送方法だった。
この自転車を売っていたショップは日本中にお店があるのだけれど(さっき調べたらなんと500店舗!)なぜかこのSUTRAの引き渡し可能店舗は、中部地方以西の西日本地域限定で、配送は「不可」とのことだった。
仕方ないので、九州や四国よりは近い、浜松店まで取りに行くことにした。
行きは新幹線。帰りは自走で。

浜松から自宅までの距離は312km 獲得標高は2,000m
このルートは以前京都行く時に走ったことあるし、「まあ何とかなるか」と思ってた。
結果は、「何とかならなかった」
まず、最初のつまずきは、引き取り店の間違い。
僕が開店と同時に入店サイクルベースあさひは、僕が行きたかった浜松店ではなく、浜松幸店だった・・。
また浜松駅までバスで戻るのは悲しすぎたので、通りかかったタクシーに乗った。
購入の手続きを完了し、持ってきたサイコン、バッグ、アクションカメラなどを取り付けてお店をでると、2度目のつまずき。
バースト。
お店をでて200mくらい先にある交差点に差しかかったとき、銃声のような、爆発音のような、とにかく凄まじい金属的な衝撃に襲われた。比喩ではなく、本当にキーンという耳鳴りでしばらく聴覚を失った。
最初に頭をよぎったのは、何か大きな事故か災害に巻き込まれたということ。
そして因果関係はわからないけど、その事故のせいで自転車のタイヤがパンクしたこと。自分の体は聴覚以外異常はないこと。
キーンという耳鳴りの中、何が起こったのか分からない、実体のない恐怖感に戸惑った。何とか自転車を歩道に移動させ、周囲を観察した。
あの凄まじい破裂音がもたらしたのは、どうやら自分の自転車のタイヤのパンクだけであることが分かってきた。
ということは、音が原因でパンクしたのではなく、パンクが原因であの音がしたということか・・・
まだ耳鳴りは続いているし、震えずに立っていられることが不思議なくらい動揺もしている。
大型拳銃の実弾射撃も車のバックファイヤーも花火もイブ会場に積まれたスピーカーの山も比較にならない衝撃音を起こしたのは、なんと自転車のパンクだったのだ。
タイヤのパンク、バーストが、とても大きな音を作るこということを知らなかったこと、全く予想してない状況で突然そのバーストが起きたこと、照りつける真夏の太陽、見知らぬ街を走り出す緊張と、想像していた通りの自転車に出会えた興奮、そういう非日常の重なりが、あの大きな衝撃音を作りだしたのだと思う。
その交差点には歩道橋があったのだけれど、その歩道橋が崩落しても全く不思議ではないほどの衝撃と、何かとんでもないことが起きたという恐怖を感じた。
もしかしたら、普段から大きな音が苦手だということも原因の一つかもしれないけど。
バーストが起こったのはお店を出てすぐのことだったから、
荷物を外して肩に担ぎ、バーストしたリムを持ち上げながらお店に引き返すことができた。
お店に人は、中古自転車であることがバーストの原因だけど、前輪はバーストしないから大丈夫、とおっしゃっていた。
理由は、自転車にかかる荷重は、構造上そのほとんどが後輪に集中するからと。
確かにそうかもしれないけど、もしバーストの原因がチューブの経年劣化にあるのだとすれば、後輪同様、前輪のチューブも劣化している、と考えるのが妥当だと思ったので、前輪のチューブは自費で購入し交換してもらうことにした。
正直、思うところはあるけれど、(彼のお店ではない)オンライン部門から、しかも中古の自転車を購入した県外の客に、時間とコストをかけたくないという店長の気持ちもよく分かるし。(交換をしてくれたスタッフの方は、とても感じ良く対応してくださいました。)

前後のチューブを交換して再出発したけど、この日のつまずきはまだ終わらなかった。
つづく